2023.03.30 毎秒1.44テラビット無線伝送に成功、6G実現へ弾み NTT、サブテラヘルツ帯で世界初
OAM多重伝送技術のイメージ(出所=NTT)
「Sub6」「ミリ波」のさらに先をいく無線伝送技術の開発が進んでいる。NTTは30日、周波数帯が100ギガヘルツ~1テラヘルツの「サブテラヘルツ帯」で毎秒1.44テラビットの大容量無線伝送に成功したと発表した。実用化されれば、4K動画約3万5000本分に相当する毎秒1テラビット超の膨大な情報を無線アクセスで利用可能にする世界初の技術で、次世代高速通信規格6Gへの拡張が期待されている。
NTTは、軌跡が進行方向に対して螺旋状になるOAM波に着目。ボルトとナットの関係のように、同じ螺旋構造をもつ受信機でのみ受信できる特徴を生かし、複数の異なるデータを同時に伝送できるようにした。NTT未来ねっと研究所波動伝搬研究部の笹木裕文研究主任は「平面波に対し、OAM波は電波がツイストしたように回転しながら伝わるため、回転数を増やして信号を多重にしていくことで大容量化できる技術」と説明する。
研究が進み社会実装が実現すれば、VR(仮想現実)やAR(拡張現実)のほか、高精細映像伝送、コネクテッドカー、遠隔医療など多彩なサービスを支える技術になるという。
現状の高速通信規格5Gでは、大半のシステムの周波数帯は、通信速度は遅いが電波が届きやすい「Sub6」(6ギガヘルツ未満)を利用している。さらに通信速度が速いがエリアが狭くなるミリ波(28ギガヘルツ帯)の導入に向けた研究も進むが、今回の研究はさらに一歩先のサブテラヘルツ帯の活用に道筋をつけた形だ。
(31日付電波新聞/電波新聞デジタルで詳報します)