2023.04.26 水中ドローンや通信… 海から日本の強み支えるOKIグループ 特機事業強化

公開されたバージ

 OKIは今月、グループで進める特機システム事業で、海洋ビジネス関連を特に強化し、民間関連を大きく伸ばして防衛関連に匹敵する規模に育てる方針などを発表。グループのOKIコムエコーズ(静岡県沼津市)が柱になり、拡大する需要を取り込んでいく構えだ。

 静かな沼津湾の漁港。船で数百メートル沖合に出ると、バージ「SEATEC Ⅱ」がある。船のような外観だが、内側にはくりぬかれた釣り堀のような穴がある。駆動するエンジンなどはなく、いわば「いけす」と同じ扱いという。この場所の水深は約30メートル。のぞき込むと、魚影も見える。

 社内外の製品や技術のテストを手掛けている。対象は水中ドローンや水中光通信、センサー類などさまざま。安定した環境でデータが蓄積できることなどが強みで、再現実験などもしやすい。乗ってみると、ほとんど揺れはない。快適に試験ができることが実感される。国内で随一の施設とあり、1年先まで利用予約は埋まり、稼働率はほぼ100%だ。

 バージは既存のものが建造から約30年経ち、性能向上のため新造・更新されることになった。

 両社は「例えば、陸上のドローンは中国メーカーが主導権を持っているが、海中の世界は日本の技術が活躍できる」と、水中ドローンや水中の通信などで、日本の技術力が期待できると指摘。それらを支えていくことで、ひいては日本の経済安全保障にも貢献できるとの展望を示した。

 特機事業を巡っては三菱電機も、子会社の三菱電機特機システムが、「三菱電機ディフェンス&スペーステクノロジーズ」に社名を変更する。7月1日付。グループの防衛・宇宙分野の中核企業としてさらなる成長を目指す一環としている。

(27、28日付電波新聞/電波新聞デジタルで詳報予定です。電波新聞デジタルに動画があります)