2024.01.10 【電子部品総合特集】部品メーカートップに聞く 2024年の経営戦略 タムラ製作所 浅田昌弘社長

浅田 社長

100周年の節目、その先の100年へ

 多くの分野で市場が立ち上がり、為替動向もプラスに働いた一昨年に比べ、昨年以降、中国市場が特に厳しい。そうした中、今年3月期の通期では、電子部品事業は前年並みの売上高を見込む。電子化学実装事業は、半導体関連需要の低迷や設備投資抑制の動きから減収ながらコスト改善で利益は改善。情報機器事業も伸びるそうだ。

 為替変動の影響は事業分野ごとに分かれるが、かねて取り組んできた価格改定の取り組み、自動化投資や拠点再編による物流改善なども奏功している。

 カーボンニュートラル関連の需要は強く、節エネ関連分野では日系の空調各社の動きもグローバルで非常に盛んで、こうした需要にしっかりと応える。

 また米国では、脱炭素関連やEV関連投資、データセンターが堅調。生成AI(人工知能)関連の需要も後押ししている。ゲートドライバーモジュールや電流センサーなど、セットで展開できる強みを引き続き生かす。

 音声卓は新投入した製品が好調で、有力先に納入できた。足元に今後、大きく寄与する。また、自動販売関連は、業界自体は伸び悩んでいるが、シェアはしっかり確保しており、利益につなげることができている。

 次世代半導体もいよいよ市場が立ち上がってくる可能性があり、しっかり追従できるようにしていきたい。

 グローバルには、かねて考えている欧米へのシフトを探りたい。中国の動きが止まっている中、仮に動きが戻っても、国産が優先される状況を想定すると、中国の比重は見直さないといけない。生産をどう移していくか検討することになる。

 また、そろそろ本格的に考えようとしているのはインド展開。チャイナプラスで、ASEANなどに展開する先に立ち上げを探る。

 新年は、創業100周年を迎える節目の年。また、2025年3月期までの中期経営計画の最終年度に当たる。カーボンニュートラルに貢献する事業成長など「ありたい姿」を盛り込み、時代の変化を先取りした製品・サービス提供や、コア技術の強みを生かす製品展開、素材からエレクトロニクスへのアプローチ、電子部品事業と電子化学実装事業の両輪化などを掲げた。

 新しい中計もその軸は変わらないが、次の100年へ向けた方向性を打ち出す。100周年に関連した取り組みも進めたい。