2024.02.26 東芝の研究開発新棟がオープン 多文化共生の川崎市長は「多様性」にエール

テープカットを行う島田社長(中央左)、福田市長(中央右)ら

 東芝が小向事業所(川崎市幸区)で整備を進めてきた研究開発新棟「イノベーション・パレット」が完成し、現地で26日、開所の式典があった。経営体制が変わる中、技術者らが交流しやすいよう設計を工夫し、社外との連携も活性化させる狙いがある。

 AI(人工知能)技術や量子、デバイス開発にも力を入れる拠点。島田太郎社長執行役員CEOはあいさつで「(経営体制変更で)ご心配をおかけしたが、(新拠点は)何としても頑張るという思いの表れ」と意欲を示した。また同市の福田紀彦市長は「川崎も(拠点のコンセプト同様)多様性を生かして発展してきた。川崎発で世界初の技術開発に期待する」とエールを贈った。

 13階建ての高層棟と4階建ての低層棟があり、建築面積約1万400平方メートル、延べ床面積約7万3400平方メートル。総投資は約340億円。約3000人が収容できる。「パレット」のように、多様な専門性を持った色とりどりの人材がオープンに議論しながら未来を生み出し、新しい研究開発の姿を実現することを目指す。

 拠点では、研究・技術者の偶然のすれ違いによるアイデア創発を目的として固定席を撤廃。集中作業、共同作業、対話、アイディア出しなど、活動別の最適空間を全員で共有。在宅勤務も併用する。

 展示会・講演会のほか、ハッカソン・アイディアブレスト、プロトタイピングに適したスペースを設置。オープンイノベーションの中心地にする。

 行動認識、各種センシング応用、空調・照明・エレベータ制御、エネルギー制御、無線通信などの実験環境としての活用も進める。