2024.03.15 CRMの生成AI機能拡充 セールスフォース、日本市場に攻勢
データフェデレーションの画面イメージ
CRM(顧客情報管理)大手の米セールスフォースの日本法人は、生成AI(人工知能)を活用してデータ連携を支援する新機能を製品群に組み込み、日本市場への攻勢を強める。15日に開催した記者説明会で、三戸篤専務は「業務の中で生成AIを使ってもらえるプラットホームとしての展開を進めていきたい」と力を込めた。
新機能を追加するのは、CRMアプリケーションにAIを組み込むツールセット「Einstein 1 Studio」と、顧客データを管理する「Data Cloud」の2つのサービス。
Einstein 1 Studioには、生成AIへのプロンプト(指示)をノーコードで作成するプロンプトビルダーと、ユースケースに合わせて大規模言語モデル(LLM)や予測AIモデルを選択できるモデルビルダーの2機能を加え、8日から一般提供を始めた。
Data Cloudには、「データフェデレーション」と「ベクトルデータベース」を追加し3月中旬から提供する。
データフェデレーションは、スノーフレークやグーグルBigQueryに蓄積されたデータを、実データをコピーするETL処理なしで連携できる機能。クラウド上の顧客データを生成AIで活用できるようになる。
ベクトルデータベースは、PDFやメール、会話記録などの非構造化データと、購入履歴や製品在庫といった構造化データを統合して、生成AIのプロンプト上で活用できるようにする仕組み。ベクトルデータベースが埋め込まれたデータに対して類似性検索を行い正確な回答を作成する「Einstein Copilot Search」と合わせて使うことでRAG(検索拡張生成)を構成して、信頼性が高い形で生成AIを業務に活用できるという。
こうした機能強化を足掛かりに、セールスフォース・ジャパンは日本市場への攻勢に向け、2月に「製品統括本部」を立ち上げ、製品展開の強化に乗り出した。統括本部長に就いた三戸専務は「製品単体ではなく、顧客を真ん中に置いて全て製品という軸でどのように貢献し価値を提供できるのかを徹底的に追求していく組織にしていきたい」と語った。