2020.06.05 【オーディオ総合特集】コロナ禍でも話題豊富ワイヤレスイヤホンなど
オーディオ市場もOTOTENが中止されるなど、コロナ禍の影響を受けている。
しかしながら、ワイヤレスイヤホン、ハイレゾオーディオ関連製品や4K8Kコンテンツの充実によるホームシアター化の流行、ストリーミングの普及、アナログレコードの完全復調、カセットテープの復権など話題も多い。
ユーザー層が拡大していることは確実で、店頭にも客足が戻りつつあり、業界挙げての若年層開拓も進んでいる。
ハイレゾロゴ認証製品完全定着
日本オーディオ協会(JAS、小川理子会長)が14年6月26日に発表した新音質規格である〝ハイレゾリューションオーディオ(ハイレゾ)〟は、音域(再生周波数幅)がCDの4倍以上、音の大きさの階調(精細さ)は256倍以上のハイレゾ定義をクリアした製品にハイレゾロゴマークを付与している。
周波数帯域はヒトの可聴範囲とされる20キロヘルツをはるかに超える48キロヘルツ以上と規定されている。
CD普及前の、アナログレコード時代の周波数特性の上限は100キロヘルツが目安だった。ハイレゾは「音質が良い」と認知され、JAS審査を受けたライセンシは、19年11月現在で192社、ロゴ付与製品は多岐にわたっている(グラフ1)。
ハイレゾワイヤレスも順調
JASは18年11月26日に、〝ハイレゾオーディオワイヤレスロゴ(ハイレゾワイヤレス)〟の導入を発表した。ワイヤードのヘッドホン/イヤホンに限られていたハイレゾロゴ付与が、ブルートゥースなどを使うワイヤレス接続製品にも門戸が開かれた。
〝ハイレゾワイヤレスロゴ〟ライセンス認証条件は、データを圧縮(エンコード)して無線で送り、伸長(デコード)して元のデータに戻す〝コーデック〟の認証。
そのほかの回路も含む〝プロダクト〟の2項目が〝ハイレゾ〟の規格に適合していること、の2条件になる(第1図参照)。
コーデック認証は聴感評価と、テスト音源と評価ツールを使った試験でスペッククリアが求められる。
プロダクト認証は認証済みコーデックを使っていることと、無線伝送以外は「ハイレゾオーディオロゴ」規定のスペックを満たすこと、とされている。
グラフ1が示すようにハイレゾ認証機器の中で、ヘッドホン/イヤホン連関製品が半数を占め、若年層やオーディオ入門層拡大に貢献している。
イヤホンは完全ワイヤレスが主流
爆発的な売れ行きの完全ワイヤレス製品に代表されるブルートゥース搭載製品は、ヘッドホン/イヤホンの半数以上を占めている(写真)。
アナログレコード完全復活
ハイレゾの普及は一切デジタル圧縮していないアナログレコードへの関心を高め、レコードブームが起きた。
グラフ2は、国内のレコードプレス枚数の推移で、10万2000枚まで落ち込んだが、17年に100万枚の大台に乗った。19年は121万9000枚を記録した。
グラフ3は、米国と英国のアナログレコードの状況。両国も完全復活し、日本のカートリッジやレコード針は輸出が増加している。
しかし、1月までは好調の勢いが続いていたが、レコード原盤制作の主要部材であるラッカー盤製造の米国企業が2月に火災に遭い、さらにコロナ禍が生じたことから、国内プレス数が1月は前年同月比159%、2月は同59%、3月は同47%と落ちている点が懸念材料でもある。
デジタルとアナログの相乗効果に期待
ハイレゾ、アナログレコードの新旧トレンドの好調は根強いと考えられている。
世界中が厳しい情勢下にあるが、ネットなどを通じたミュージシャンの活動は活発化している。人類だけが享受できる文化的娯楽の音楽を、いつでもどこでも楽しめる環境を支え続けているオーディオ市場は底堅い。