2025.05.23 「日本は生成AIの実装に真剣」 台湾発半導体設計スタートアップ、日本市場に期待

Raptor(上)とそれを搭載したViper(下)

COMPUTEXのNeuchipsブースCOMPUTEXのNeuchipsブース

パートナーを通じて展開する生成AIソフトは日本語にも対応。日本市場開拓を視野に入れる。パートナーを通じて展開する生成AIソフトは日本語にも対応。日本市場開拓を視野に入れる。

 台湾の半導体設計スタートアップが、AI(人工知能)に特化した製品の展開で攻勢をかけている。Neuchipsは開発したチップを生かすため、エンタープライズ向けパソコン(PC)やソフトウエアを手がけるメーカーと協業し、端末側(エッジ)で生成AIを使用する方法を提案。日本市場の開拓も視野に入れているという。

 同社は2019年創業。AIによるレコメンド機能に特化したチップ開発を進めていたが、米OpenAI(オープンAI)の「ChatGPT」の登場で方向を転換。その生成AIに特化したチップとして市場開拓を始めた。

 Neuchipsの「Raptor」は7ナノメートルプロセスのプロセッサーで、特許技術による省電力が特長だ。これを搭載したマザーボードに取り付ける拡張機器「Viper」を活用すれば、生成AI機能を使えるようになる。45Wで140億のパラメーターのLLM(大規模言語モデル)を扱える。

 同社はこの技術を市場で生かそうと、各社と協業してアプリケーションの開拓に注力。陳怡嘉氏は「チップの性能向上も目指したいが、スタートアップということもあり、まずは市場にアプローチすることが重要」と話す。

 台北市で開催中の「COMPUTEX(コンピュテックス)」でも、こうした強みをアピールした。台湾Vecowなど産業PCメーカーと協業し、電源構成を追加することなく複雑な生成AIを使えるようにするシステムを実現、展示した。同じく台湾のGSH(Golden Smart Home)が手がけるAIベースの企業の教育・研修プラットフォームも展示。Viperを使用したアプリケーションになる。

 コンピュテックスでは、こうしたソフトウエアとハードウエア両面の協業を周知させようと、エッジでの生成AIの活用事例を示した。

 日本市場への展開も想定する。陳氏は「日本は世界の中でも生成AIの実装を真剣に目指している」とし、今後に期待を込めた。