2025.08.08 【コネクター特集】コネクターメーカー各社、グローバル体制を拡充 サプライチェーン強靱化など活発
4月に稼働開始したイリソ電子工業の秋田工場(秋田県横手市)
コネクターメーカー各社は、グローバルでの生産・開発体制の拡充を活発化させている。中長期での需要増大への対応やサプライチェーンの強靭化(きょうじんか)、次世代成長領域での事業創出に向けた取り組みを加速する。
コネクター各社の新工場建設や新工場棟増設の動きは、2010年代半ば以降に活発になり、ASEANや中国を軸に積極投資が行われた。国内外での試験・評価体制の増強や工場のスマート化投資も進んだ。
20年から21年前半には、コロナ禍による世界経済停滞により、不要不急の投資を控える動きが一部でみられたが、21年後半以降は再度、設備投資が活発化。22年から24年にかけても積極的な生産能力増強が行われた。
コネクターのグローバル市場は、足元では米トランプ関税政策の問題や欧州経済低迷などもあり、一進一退の状況が続いているが、コネクター各社は、中長期でのコネクター需要の増大やBCP対応強化、地産地消ニーズの高まりへの対応の観点から、25年から26年にかけても多くの企業が国内外での新工場建設や既存工場増設などのプロジェクトを計画している。
特に最近は米中対立激化を視野に入れたサプライチェーン強靭化や、車載・産機市場向けの高付加価値製品の生産能力増強のため、国内工場への再投資や新たな国内量産工場新設などの動きも活発だ。顧客のサプライチェーンの変化に迅速に対応するため、同一製品のマルチライン化なども重視されている。
研究開発拠点も
次世代自動車やAI(人工知能)、次世代半導体関連、脱炭素関連といった成長分野に向けたイノベーション強化のため、研究開発拠点の強化・拡充も国内外で進む。無人化製造ラインの研究開発や試験ライン導入などにも力が注がれる。
ヒロセ電機は、モノづくり力強化の一環として、24年3月に生産設備開発拠点「東北アドバンスト・テクノロジーセンター」(盛岡市)を稼働。同年4月には新郡山工場(福島県郡山市)を竣工(しゅんこう)し、同年6月から本格稼働した。同年12月には韓国ヒロセコリアの新R&D棟が竣工し、25年1月から稼働している。
イリソ電子工業は、国内新工場の秋田工場(秋田県横手市)を4月に稼働開始した。秋田工場は、同社グループの工場としてはグローバルで6番目、国内では茨城工場(茨城県常陸大宮市)に続き2番目の工場。コネクター一貫生産工場として、プレス、成形、めっき、組み立て設備など、主要工程に必要な全ての生産設備を保有している。
ケルは、海外新工場となる中国・珠海工場(広東省珠海市)を設立し、8月からの稼働を予定している。