2025.08.26 【エレクトロニクスに貢献する化学材料特集】積水化成品 次世代ディスプレー向けに「テクポリマー」を提案

積水化成品が開発するポリイミド中空微粒子の断面

 積水化成品は、強みの発泡技術や重合技術を生かし、広く産業分野の進化を支える。

 電子材料で注力するポリマー微粒子「テクポリマー」はメタクリル酸メチル、スチレンなど疎水性ビニルモノマーなどの架橋重合体だ。最大需要の液晶ディスプレー向けでは画面を覆う複数層のフィルムの一部に添加して屈折率などを調整。バックライトLEDの光を拡散させて明るく見せたり外光の映り込みを抑えたりする。

 次世代ディスプレーのカラーフィルターの隔壁材へナノメートルサイズの中空粒子を添加し低屈折率化する用途も顧客の評価を受ける。光の拡散機能は車載照明で海外大手電動車メーカーが採用。「無機材料に比べ光の取り出し効率に優れ、組成や粒度分布などのカスタマイズ性が高い」と機能性ポリマー事業部の佐藤雅也事業部長は特徴を語る。

 粒子サイズが不ぞろいな多分散系から、ほぼ均一な単分散系まで展開。スチレンやアクリルなどの比率を変えて屈折率を調整でき、顧客の溶剤になじみやすくする表面加工にも対応する。

 低比誘電率(Dk)、低誘電正接(Df)も特徴だ。中空粒子はサブミクロンからマイクロサイズまで粒子径の調整幅も広く、Dk1.50、Df0.00007の品種もラインアップし、注力用途は半導体パッケージ材やプリント基板材。5G/6G通信用半導体パッケージ内で高周波信号を伝送し配線を形成する銅張積層板に添加すれば伝送損失を抑制する。モールド樹脂やアンダーフィル材向けにも期待でき応力緩和で中空シリカに優位だ。

 「2025年度は量産向けに複数の採用実績を獲得した」(佐藤部長)。ポリイミドを使った高耐熱性・高寸法安定性のものも粒子径を小さくするなどし開発中。低誘電グレードでは中実タイプもラインアップ。共に顧客の要望を取り入れる。

 積水化成品は、半導体後工程で樹脂フィラーを使っていなかったメーカーも導入へと動く商機に体制を強化。日本に加え台湾メーカー複数社と協議し、10月に「TPCAショー」に初出展する。