2025.08.26 【エレクトロニクスに貢献する化学材料特集】メルクエレクトロニクス 半導体パターニング材料開発の先端材料開発センターを新設
AMDCの完成予想図(©メルクエレクトロニクス株式会社)
ドイツの大手化学メーカー、メルク(Merck)の日本法人「メルクエレクトロニクス」(東京都港区)は、半導体材料部門では薄膜材料やパターニング材料、特殊ガスを中心に最先端分野への展開を強化し、実績を上げている。
半導体パターニング事業では、約30年にわたって半導体フォトレジスト材料を手掛けてきた。
現在はEUV(極端紫外線)レジストやKrFレジスト、パッケージ向けi線レジストなどの開発を進めている。特にパッケージ用レジスト、KrF用厚膜レジストなどに強みを持つ。
EUVレジストでは、有機系レジストに加え、次世代の無機系のメタルオキサイドレジストの開発も並行して進めている。
このほか、周辺材料として、フォトレジスト用のリンス材料やシュリンク材料、反射防止膜、SOC(スピンオンカーボン)、SOD(スピンオンダイエレクトリック)などの開発にも力を入れている。中でも、パターン倒れ防止機能を持つリンス材料や、シュリンク材料、上層反射防止膜などはワールドワイドで高い市場シェアを有している。
現在は、環境に配慮して、フォトレジストおよび周辺材料のPFASフリー化を進めている。
メルクは、静岡事業所(静岡県掛川市)をパターニング材料の研究開発の中核拠点と位置付けており、投資および人材面でも注力している。
先端リソグラフィー材料のDSA(ダイレクト・セルフ・アセンブリー=誘導自己組織化)のソリューションもメルクが開発した製品の一つで、EUVリソグラフィーの性能拡大に貢献するアプリケーション化を推進している。
同社は、静岡事業所の敷地内に半導体パターニング材料開発のための先端材料開発センター「アドバンスト・マテリアルズ・ディベロップメントセンター(AMDC)」の新設を決めた。AMDCでは、EUV材料やDSAといった最先端のソリューションに力を注ぎ、AI半導体や先端ノードを含む次世代アプリケーションの需要に応えながら、環境負荷の低減も目指す。運営開始時期は2026年を予定。