2025.10.08 年末調整に対応する人事労務担当者の負荷軽減へ SmartHRがAIで業務支援

 クラウド人事労務ソフトを運営するSmartHR(東京都港区)は、2025年の税制改正に対応する「年末調整」機能の提供を始めた。税制改正に伴い年末調整の複雑化が懸念される中、人工知能(AI)を活用する光学式文字読み取り装置(OCR)などを生かし、年末調整業務に対応する人事労務担当者の業務効率化を支援する。

 今回の「2025年版 年末調整」機能は、生命保険料控除証明書の画像を読み込む「AI-OCR」と、従業員からの問い合わせに応える「AIアシスタント」機能を組み合わせたツール。人事労務担当者にとって特に負荷が大きい差し戻し・確認作業や問い合わせ対応の業務を効率化できるようにする。

 具体的には、従業員が生命保険料控除証明書を撮影し、スマートフォンアプリにアップロードするだけで、保険会社名や保険料などの情報が自動入力される画像をAI-OCRで読み込む。従業員による手入力を減らすことで、記入漏れやミスを防ぎ、差し戻しの手間を大幅に軽減できる。

 画像読み込みの対象は、日本生命やコープ共済など主要な生命保険会社の保険料控除証明書から対応を始め、今後も範囲を拡大する予定だ。AI-OCRで読み取った情報は、第三者へ共有されたりAIの学習に使用されたりすることはない。

 年末調整に関する従業員からのよくある質問には、AIアシスタント機能が24時間365日体制で対応。管理部門が事前にアップロードしたマニュアルなどの資料を基に、生成AIが従業員の問い合わせに自動で答える。従業員は「SmartHR」のホーム画面上の検索バーに欲しい情報を入力することで、チャット形式でAIとやり取りできる。

 キヤノンマーケティングジャパンが行った調査によると、年末調整の時期に65%以上の年末調整担当者が「30%以上残業時間が増えた」と回答。その主な原因を尋ねると、「書類の再確認・修正作業」(52.1%)が最も多く、これに「従業員からの問い合わせ」(46.8%)などが続いたという。