2025.10.10 給湯器製造から出る廃材、再資源化で協業 ノーリツとwelzo

ミネラル土壌改良材「ゼオカル」

高効率給湯器に搭載する中和器高効率給湯器に搭載する中和器

 ノーリツの特例子会社エスコアハーツ(兵庫県稲美町、新田博哉社長)と、農業資材や肥料などを扱う専門商社welzo(福岡市博多区、金尾佳文社長)のグループ会社サンアンドホープ(北九州市門司区、中武英一社長)は、給湯器製造過程で出る廃材の資源循環に向け協業する。

 給湯器の製造過程で廃棄されていた「寒水石」を再資源化し、ミネラル土壌改良材「ゼオカル」として、10月14日から全国のホームセンターとwelzoグループを通じた農家への直販を始める。来春にはインターネット販売も予定する。

 エコジョーズなどノーリツ製高効率給湯器には、ガス燃焼の過程で発生する弱酸性のドレン水を中和する役割を持つ中和器が搭載されている。

 ノーリツは、エスコアハーツの障がいのある従業員が働く生産ラインで中和器を製造。この製造過程で中和剤として使用される寒水石の約11%が規格外として廃棄されている。

 地球温暖化ガス排出削減が叫ばれるなか、高効率給湯器の需要は拡大しており、今後寒水石廃棄量の増加が予想される。このため、エスコアハーツとサンアンドホープは、園芸・農業向けのミネラル土壌改良材ゼオカルを共同開発し、規格外の寒水石を有効利用する。

 寒水石の原料である炭酸カルシウムは、植物の成長に必要なカルシウムを豊富に含み、酸性化した土壌のpH調整効果がある。

 これに天然鉱物のゼオライトを組み合わせることで、保水性と通気性を高め、養分の保持力強化など土壌環境を総合的に改善する効果を実現した。

 今回のプロジェクトでは、エスコアハーツが寒水石の選別・品質チェックを担い、サンアンドホープが商品の製造・包装・品質管理から商品企画・販売までを担当する。

 サンアンドホープは、肥料製造における原料の配合や袋詰め、パッキングなどの工程を障がい者スタッフが手作業で行っており、このノウハウをゼオカルの製造にも生かす。

 エスコアハーツの新田社長は「これまで廃棄せざるを得なかった規格外の寒水石が新たな価値を持つ商品として生まれ変わり、さらに障がい者の就労機会をも創出できた」とコメントしている。