日立ソリューションズは3日、建設業向けに開発した「建設業向けAIエージェント活用ソリューション」を4日から販売すると発表した。業界で求められてきた技術情報検索や文書作成の省力化、熟練技術者から若手への技能継承といった課題に対し、生成AI（人工知能）を活用したナレッジ検索基盤で応える。

　新ソリューションは、国土交通省や自治体が公開する標準仕様書や、自社に蓄積された技術資料、業務ノウハウや規程などを対象にできる。これらを管理画面にドラッグアンドドロップでアップロードするだけで、AIが内容を解析し、チャット形式で検索できる。利用者は質問を投げかけるだけで、必要な作業手順や仕様書類にたどり着けるという。

　アップロードされた資料は暗号化され、自社専用の生成AI環境内でのみ処理される方式を採用。機密情報の漏えいリスクを抑制しながら、現場で安心して活用できる点を強調している。さらに、標準仕様書の新旧比較機能なども標準装備。生成AIの専門知識がなくても、容易に利活用できるのが特徴。

　国内建設業界では、労働人口減少と熟練技術者の高齢化による生産性低下などにより安全性の確保が難しくなりつつある。こうした構造的な課題に対し、生成AIには一定の期待があったものの、現場業務の専門性の高さから導入には慎重さも求められてきた。今回、専用AI環境とともに実用可能な形に設計したことで、現場のDX（デジタルトランスフォーメーション）の推進につなげるのが狙いだ。

　同社は今回のサービスを皮切りに、報告書やチェックリストなど日常的に多用される文書の自動生成機能も順次提供する方針。