2025.10.13 【シーテック特集】三洋化成工業 複雑で多様な匂いを可視化

匂いセンサー「FlavoTone」シリーズ

匂いセンサーシリーズ実機を用意

 三洋化成工業は、2年連続で匂いセンサー「FlavoTone(フラボトーン)」シリーズを展示する。複雑で多様な匂いを可視化し、品質管理、特性比較、モニタリングといったソリューションを提供。実機を置き、デモを通じて匂いセンサーの特徴を訴求する。

 同社は化学材料メーカーとして創立前史である1907年から各種ソリューションを提供。その技術を生かして多種多様な樹脂材料を設計し、基盤技術のポリマー設計と合成技術を応用して匂い検出素子を開発した。この素子を組み合わせて並べた匂いセンサーは、これまで識別が困難であったさまざまな成分を含む複雑な匂いの可視化を実現する。

 装置は、特定の匂いだけでなく、複雑な匂いを可視化するセンサー。2019年から開発を進め21年には試作機が完成した。昨年はCEATECで製品を披露し、今年はフジッコで昆布製品の品質検査の補助機器として採用された。4月からはJR東日本環境アクセス、長瀬産業の3社で匂いセンサーを使用した実証実験を開始。遠隔からトイレの衛生状態をリアルタイムで把握し、トイレ清掃の効率化、利用者の安心感向上を目指すという。

 温度などの外部環境の影響を受けにくく、再現性が高いセンシングが可能で、測定対象によってプローブの種類や数をカスタマイズできる。ガスクロマトグラフィーのような複雑なメソッド・前準備は不要という。

 装置は精密に測定可能な据え置き型の「FlavoTone Type-G」(卓上機)と実使用環境下で24時間リアルタイムの匂いのモニタリング試験が可能な「同Type-A」(小型機)の2機種。卓上機は400×400×400mm、小型機は60×125×160mmの大きさ。

 会場では2機種を展示し、匂いの可視化を実演するデモを行う。集気口に油成分を近づけ、匂いの識別状況を画面で紹介する。ハンディータイプやモジュールタイプなど将来発売を予定する機種も提案する。

 食品業界や医薬品・化学業界、匂いが気になる現場、工場などでの活用を想定する。幅広い業界での活用を目指す。