2025.11.27 「鉄道技術展」開幕、鉄道関連の最新技術・サービスが一堂に 自動運転技術やAI活用ソリューションなどをアピール
JR東日本は、開発中の「ミリ波を活用したタッチレスゲート」のデモを実施
鉄道分野の技術を横断的に紹介する国内唯一の大規模鉄道ビジネス展示会「鉄道技術展2025」(主催=産経新聞社)が26日、幕張メッセ(千葉市美浜区)で開幕した。過去最高となる616社・団体が出展。業界の最前線を担う最新技術やサービスが一堂に紹介され、多くの来場者でにぎわった。
同展示会は2年に1度開催され、今回が9回目。出展企業は、鉄道会社や鉄道機器・システムメーカー、部品・材料メーカーなど多岐にわたり、電機メーカーも東芝やNEC、三菱電機をはじめ、今回が初出展となった日立製作所やシャープなど、多くの企業が出展した。
会場では、高速鉄道の自動・自律運転技術や次世代省エネ車両技術、鉄道事業者による生成AI(人工知能)を活用した鉄道DX(デジタルトランスフォーメーション)事例、次世代地上設備、安全性向上ソリューションなど、安全・安心・快適・環境・省エネなどを切り口に、さまざまな製品・サービスが披露された。
JR東日本は、開発中の「ミリ波を活用したタッチレスゲート」の実機によるデモを実施した。端末を携帯するだけで改札を通過できるストレスフリーな改札機で、ミリ波通信によって高速で認証できる。同社は「顔認証によるタッチレスゲートとは違い、個人情報を含む登録作業が不要で簡単に利用できる」としている。
JR東海は、東海道新幹線の自動運転システム技術を紹介した。同社では、2026年秋に、東海道新幹線の全車両で自動停止用の「TASC(停止位置制御)」の運用開始を予定しており、28年ごろからは、自動運転システム(GOA2)搭載車両を順次導入していく計画。
JR西日本は、2D測域センサーを用いた駅ホーム転落検知システムや、生成AIを活用した駅窓口での問い合わせ対応補助などを紹介した。
三菱電機は、鉄道の運航データなどを活用した「食品ロス対策ソリューション」を初公開した。店舗の在庫データと鉄道などの移動データをリアルタイムで結ぶことで、食品廃棄の抑制と、新たな購買体験の創出につなげるソリューション。リアルタイムの移動データから、利用者の自宅最寄り駅などへの到着時刻を予測し、移動中の利用者に、購入を希望する商品の事前予約・オンライン決算などの利便性を提供するほか、店舗での引き取りを可能とすることで、スムーズで無駄のない購入手続きを支援する。
電機メーカーによる鉄道自動運転技術の紹介も目立ち、三菱電機は、制御技術とAI・通信の融合により、運転支援から路線全体の運航管理まで、安全・効率・快適性を高次元で実現する自動・自律運転技術を紹介。東芝は、前方監視技術を用いて地上子(ちじょうし)なしで自動運転を実現する自動運転システムを出品した。
シャープは、作業員の人手不足を解消する画像検査ソリューション「車両床下画像検査システム」などを紹介。JVCケンウッドは、安全な運行や省人化を支援する「ワンマン運転用ITVシステム」を出品した。
NKKスイッチズは、ユニバーサルデザインスイッチ「TB01シリーズ」に音声案内機能を付加した「半自動ドアスイッチ音声案内装置」のデモを実施。全国的に無人駅やワンマン車両が増える中で、視覚障がい者などに優しい機能をアピールした。
このほか、出展各社からは、画像AIによる踏切安全対策技術、3D LiDAR(ライダー)によるホームの危険検知システム、最新SiC(炭化ケイ素)素子採用により小型化を図った次世代車両用インバーター装置など、多彩な製品・技術が紹介されている。
会期は11月29日まで。最終日の29日には、鉄道業界の未来を担う人材との出会いをつくるリクルートイベント「鉄道業界探求フェア」も開催される。














