2020.02.18 【オフィスソリューション特集】働き方改革 ITが不可欠 複合機の活用に注目
複合機のパネルで勤怠管理もスムーズ
「働き方改革」が、これまでの大企業先行からいよいよ中小企業にまで拡大される段階を迎えている。
働き方改革法案は、20年4月からは中小企業にまで拡大される。今年の夏は東京五輪・パラリンピックが開催されることもあって、テレワークの導入が本格化する。
こうした中、オフィスのセンターマシーンとしての複合機(MFP)やプリンタをベースとした、働き方改革ソリューションへの期待が一段と高まっている。
19年4月から始まった時間外労働の上限規制などを盛り込んだ働き方改革法案が、今年4月からは中小企業にも適用される。
「残業時間の上限は、原則として月45時間・年360時間とし、臨時的な特別の事情がなければこれを超えることはできない」となっている。
一方、マクロ環境は、少子・高齢化を迎えており、特に中小企業の人手不足は深刻だ。こうした労働力の減少が、経済面に与える影響が懸念されている。
働き方を変えることで、いかに生産性を上げていくかが鍵になる。働き方を変える手段として、ITの活用は不可欠となっており、どこのオフィスにも1台はある複合機(MFP)を活用した、働き方改革ソリューションが注目されている理由だ。
テレワークに期待
多様な働き方で生産性を高める手段として本格的な導入が期待されているのがテレワーク。いつでもどこでも仕事ができるモバイルワーク、在宅勤務やサテライトオフィスによる多様な働き方、離れた拠点間で会議ができるWeb会議システムなどでテレワーク環境を構築することが求められている。また、RPAやAIチャットボットなどの活用も進みつつある。
働く環境の向上が「仕事のヤル気・モチベーション」の向上につながる。時間や場所にとらわれない柔軟なワークスタイルが求められている。
オフィスや働く環境を変えていく上で、複合機が重要な役割を担っている。特に中小企業では、まだまだ紙文書が多く、業務効率化の障害になっている。また、ITサポート専任者が不在の企業も多い。
富士ゼロックスの古賀優エンタープライズドキュメントソリューション事業本部統合プロダクトマーケティンググループ長は「働き方改革は、コミュニケーションがポイント。紙を電子化することで、場所を選ばずにコミュニケーションができるようになる。この電子データの利活用をどう進めるか、経営改革までつなげられるかが重要だ」と指摘する。
同社では、フラグシップモデル「ApeosPort-Ⅶ C」シリーズで、各種ソフトウエアやクラウドとの連携を強化しているが、「業務別らくらくスキャンPro」の搭載で、文書のスキャンから保存・格納までの定型作業の自動化を実現。特に中堅中小企業の働き方改革を支援している。
クラウドと連携
リコーでは、新世代複合機とクラウドプラットフォーム「RICOH Smart Integration」を介して提供する各種クラウドサービスを組み合わせた「RICOH Intelligent WorkCore」を提供開始した。
AIを活用したOCR機能により、複合機が紙ドキュメントの情報をデジタルデータ化するためのゲートウエイとなり、クラウドサービスとシームレスに連携した効率的なワークフローを提供する。
特に中小企業が抱えている紙ドキュメントなどの課題解決を支援する。このため、業種業務に特化したパートナーとの連携を一層強化する。
リコージャパンでは、中小企業の業務のIT化、自動化、省力化へのお役立ちとしてスクラムパッケージを提供している。現在、業種・業務に合わせた100のパッケージを提供。売上げも前年比17.5%増と好調だ。
コニカミノルタジャパンの杉本孝一取締役マーケティング本部長は「DXを支援する事業顧客基盤としてMFPを位置付けている。複合機のi-SERIESでさらなるIT武装を支援していく」と話す。同社は「いいじかん設計支援サービス」を提案している。
働き方改革関連法案を受けて、抜本的な働き方改革が求められている。コニカミノルタジャパンは、本社移転の際にいいじかん設計のコンセプトを取り入れ、この結果、社内外のコミュニケーションが活性化するオフィス空間と、働き方改革を実現できた。
具体的には、社内の紙文書を約7割削減、オフィスフロアスペースも7%減少、さらに部門間コミュニケーションが2倍以上に改善した。
自社実践を踏まえ、サービスとして提案している。「作業時間の削減にとどまらず、〝創造じかん〟を増やしていくことが働き方改革につながる」と杉本取締役は強調する。今後、データ連携による付加価値の創造など、提供範囲を拡大していくという。
エプソン/エプソン販売は「スマートチャージ」の新製品としてA3複合機/プリンタの「LX」シリーズ3モデル、「PX」シリーズ3モデルの6モデルを1月から順次販売開始した。
また、教育現場の働き方改革として学校向けなどに新たに「アカデミックプラン」のサービスをスタート。エプソン販売の柳田貴之取締役スマートチャージSBU本部長は「今後、生徒一人PC一台など教育現場のネットワーク化が進む。印刷枚数に応じたサービス提案など、先生の働き方改革支援していく。同時に生徒の学びの質も変えていく」と話す。同様に医療現場の働き方改革の提案への取り組みも開始した。
東芝テックは、クラウドサービスとの拡張性と独自機能の強化により働き方改革をサポートする「e-STUDIOシリーズ」が好評だ。東浩毅プリンティングソリューション営業推進部統括部長は「ペーパーレス化が進む中で、ドキュメントボリュームに依存しない、機能売りからコト売りに軸足を置いたソリューションを強化、複合機を使った働き方改革などを視点に提案していく」と強調する。
また、中小企業の人手不足に対応。「生産性の向上、業務効率の改善を解決するソリューションに力を入れていく」(東統括部長)として、複合機のOCRアプリやRPAを活用した自動化、さらに外部連携などによるAI OCRなどに注力していく戦略だ。
京セラドキュメントソリューションズは「Put knowledge to work=知識を仕事に活かす」新しいブランディング活動を世界中で開始した。
伊奈憲彦社長は「ドキュメントの情報量が飛躍的に増え、お客さまが取り扱う情報を効率的に管理し、その情報を知識に変えて、スピード感をもって課題解決できるように、お手伝いすることが当社の役割だ」と話している。
【オフィスソリューション特集】目次
●クラウドなどと連携し付加価値提案を強化
●MPSサービス より高付加価値を提供へ
●働き方改革 ITが不可欠 複合機の活用に注目
●商業印刷 進むデジタル化
●産業印刷 大きく広がる市場
●リコー〝EDW〟を打ち出す 顧客の困りごと解決を図る
●富士ゼロックス「ApeosPort-Ⅶ C」シリーズ 低速機など品揃えを拡充
●コニカミノルタ A3カラー複合機品揃え強化
●セイコーエプソン 複合機市場に本格参入
●東芝テック「e-STUDIOシリーズ」が好評、働き方改革をサポート
●京セラドキュメントソリューションズ 事業の可能性を引き出す新しいブランディング活動
●ブラザー販売 ITソリューション提案に力を注ぐ、印刷需要の高い業種に特化
●理想科学工業 世界最速のカラープリンタが国内外で高評価を得る