2025.02.19 【開発のキセキ㊤】メトロ電気工業 「一人用こたつ」日向ぼっこのような温もりを 設計へのこだわり
18年に入社した商品企画課長の竹内誠さん(左)と吉原さん(同社提供)
エアコンやストーブでも暖を取れるが、寒い日にはこたつが恋しくなることも。こたつの温もりが手軽に欲しい時には「一人用こたつ」という選択肢がある。
こたつ用ヒーターユニットなどを手掛けるメトロ電気工業(愛知県安城市)は、2009年から一人用こたつを販売している。
一人用こたつの設計開発から仕入れ、製造、営業、販売まで4人が関わった。
そのうちの一人の吉原寛美さんは02年に入社し、技術部第二技術課長を経て、暖房器具課長を歴任。こたつ暖房関連の新製品の開発と顧客提案を推進している。
正方形に近い形状の、天然木の木枠が発熱体を囲んでいる一人用こたつ。MDF(中密度繊維板)といった木質ボードもあるが、吉原さんは「天然木を使うというコンセプトを優先した。天然木に製品の価値があると思った」と話す。天然木によるこたつの安心感を伝えることにこだわった。
一人用こたつは、一般的なこたつのようにこたつ布団などを被せても使えるが、何も被せずそのまま足元に置いて暖を取ることもできる。天然木にすることで、リビングなどのインテリアと調和する見た目に仕上げた。
天板付きの濃いブラウンと、天板なしのベージュの2種類を展開しているのも特長。発売当初は天板なしの製品だけを展開していたが、家具に近づけるために天板付きタイプを加えた。
「日向ぼっこみたいに温かくなる」(吉原さん)ように、立ち上がりが早く、赤い光が暖かな印象を与えるコルチェヒーターを採用。通常のこたつに使っているヒーターを応用した。発熱体のタングステン線コイルをリングサポートで固定し、赤色石英管の中心部に封入している。
一般的な大きさのこたつは600~700Wだが、一人用こたつは100Wと省エネ性も高い。
単身赴任や一人暮らしの高齢者、学生などに需要がある。09年5月から環境省が実施した「家電エコポイント」制度による省エネ意識の高まりを背景に、消費電力が高いというこたつへのイメージを変えたいという思いもあり、一人用こたつは生まれた。
(つづく)