2025.07.31 【家電流通総合特集】アトムチェーン本部 本部ビルで技術研修を実施

冷蔵庫の解体で基礎知識を学ぶ

角間 技術指導員角間 技術指導員

エアコンクリーニングを指導エアコンクリーニングを指導

基礎知識や修理技術など学ぶ

若い人に知識を ベテラン指導員が講師

 アトムチェーン本部(大阪府羽曳野市)は、FC店が大型商品の搬入やエアコンクリーニング、修理技術などを学べる技術研修を本部が入るビルで実施している。

 電器店の若手従業員、FCに加盟する異業種分野の従業員、家電店を開業したばかりの加盟店に対応しているが、今年に入り受講者が増えている。今後は受講項目を限定したプログラムの開発など、加盟店のニーズに対応したい方針だ。

 同本部の研修センターは2022年4月からスタート。研修センターでは約10日間の集中研修を行っており、短期間で技術を習得することを目標としている。研修会は定期的に開催しており、月に1度程度の頻度。座学でエアコン、冷蔵庫、テレビ、アンテナなどの基礎的な知識を学べるほか、修理、導入などの技術的な実技も習得することができる。参加する店の費用は10日間で8万円のみ。

 初年度の22年は32人が受講、23年度は14人、24年度は11人となっていた。今年度は7月までに11人が受講しており、昨年度の数字と同等数となっている。電器店と異業種の受講者の比率は6対4。年齢は就業したばかりの10代から50代と幅広い。就業1年未満の人が多い。これまでの受講者からのアンケートでも「仕事で役に立った」「現場で遭遇する研修内容が多かった」など評判は上々だ。

 講師を務めるのは家電の知識を有し、電気工事などを長年手掛けてきた同本部の角間弘一技術指導員。アトム電器甲子園口店として03年に加盟し、15年間営業。その後、本部で講師を務めるようになった。角間技術指導員は「若い人に私の知識と技術を伝えてお役に立てれば」と話す。

 研修内容は安全研修からオームの法則、電気代の計算、商品知識など電気の基礎知識、エアコンの取り付け、故障診断、クリーニング、冷蔵庫の修理、設置、テレビの修理、設置など多岐にわたる。カリキュラムは電気の基本など主となるところは変えず、その時期に合わせた旬な話題や中身も提供。季節やトレンドに合わせたトークや内容に変えることもあるという。

 座学、実技がベースで、ロールプレーイングなどのほか、復習をかねて毎日テストも実施。知識を習得できているかどうか確認する項目も用意した。

 研修を行うセンターでは、ドライバーやペンチからニッパー、ヘルメットなど作業で使用する工具や道具を完備。そのほか、電動ドリル、トルクレンチ、各種カッター、ハンマー、メジャーなど、現場で必要とされる工具類も準備している。ほか、エアコンやスイッチなどを取り付ける壁や冷蔵庫、洗濯機などの大型商品も用意。あらゆるものを置いておくことで参加者の研修の敷居を低くした。

 7月に研修を受けたアトム電器板橋前野店の高橋幸紀さんは「父の店で3月から仕事をしている。これまでは電気以外の仕事に従事していた。電気の基礎が学べたことは大きい。目からうろこのことがたくさんあった。今回得た知識を今後の仕事で生かしていきたい」と話す。

 本部ではこれまで10日間の集中研修を展開してきたが、今後は3日間など短期で講習を受講することができるプログラムの開催も検討する。