2022.10.28 【半導体製造装置特集】アルバック 「ULTiNA」、高密度TiN膜の生成制御 ストレスを調整可能
「ULTiNA」を搭載可能な半導体製造用スパッタリング装置「ENTRON-EX W300」
アルバックは、ALやWなどのメタル配線工程に実績を持つ枚葉式マルチチャンバー対応プラットフォームの「ENTRON-EX W300」を取り扱う。
膜ストレスを制御できる高密度TiN膜成膜用スパッタリングモジュール「ULTiNA(アルティナ)」は、ENTRON-EXに搭載可能だ。
ULTiNAは、従来の成膜技術では困難だった高密度TiN薄膜のストレスコントロールを可能にした技術を備える。
同技術で成膜するTiN膜は、5ナノメートルノードの最先端ロジックデバイスの層間絶縁膜加工のハードマスクに採用。次世代(3ナノメートル)のロジックデバイス製造でも採用予定だ。
ハードマスクはエッチング選択比を大きくするので高密度膜が望ましいが、従来の高密度TiN膜は強い膜ストレスを持つため層間絶縁膜のエッチング加工後にパターン形状の変形を誘発した。
同社は、高密度を維持しつつ膜ストレスを引張から圧縮まで制御可能な、新しいTiN膜の成膜技術の開発に成功。同技術を用いることで、層間絶縁膜に適するストレスを持つ高密度TiN膜の成膜が可能となった。
ULTiNAには同社独自のストレス制御方法を用いており、基板側に印加するRF電力を調整するだけで、ストレス以外の膜特性を維持したまま、膜ストレスを引張から圧縮まで自在に調整可能。特別な成膜性能を有しつつも、最先端デバイスの量産機として全面採用されるほどの「低発じん性能」も兼ね備える。
ULTiNAで成膜したTiN膜は、従来のTiN膜と比べ、分布、抵抗率、密度、光学特性などの膜特性と互換性があり、ハードマスク以外の用途でも使用できる。実際に、ハードマスク以外の成膜工程でも使用が始まっている。
同社は、ストレスを調整できる選択肢を示せたことで、これまで回避されてきた用途への可能性が広がったとしている。