2025.03.01 【開発のキセキ㊦】メディカルファンデーション 電動ミル型かつお節削り機「BUSHI」常にベストなかつお節を

ブシがあれば、炊きたてのご飯の上にサッと削り節をかけられる。(同社提供)

 200件ほどの試作を重ねて満を持して製品化した、電動ミル型かつお節削り機「BUSHI(ブシ)」。ブシを開発したメディカルファンデーション(静岡県清水町)の廣岡喜代人CEO(最高経営責任者)は「手軽に、常にベストコンディションの状態でかつお節を削られるようにしたかった」という思いを強め、製品開発に挑んだ。

 他社が手掛ける半自動仕様のかつお節削り器は、削り節が飛び散りやすく、機器のメンテナンスも必要で気軽に使いにくい。

 廣岡CEOは「パックの削り節は便利だから普及しているが、余って保管しているのを忘れがちで、気付いた頃には酸化が進んで風味も悪くなっている」という課題を感じていた。

 ブシはもともと販売の予定はなく、かつお節好きが高じて自身で楽しむために作り始めたものだった。

 医療機器の開発を生業にしている廣岡CEOは、3D(三次元)プリンターを使ったモノづくりの経験があった。「3Dプリンターを使って試行錯誤したが納得できるレベルではなく、鉛筆削りから脱していなかった」(廣岡CEO)状況で、刃の角度やかつお節の回転を安定させるために調整を続けた。

 約4年を経て2024年に完成したブシは、デザイン性に優れた県産の製品やサービスを表彰する「2024グッドデザインしずおか」(静岡県経済産業部商工業局地域産業課主催)で特別賞を受賞。2月12日開幕の「第99回東京インターナショナル・ギフト・ショー春2025」にも出展した。

 今夏までにブシの発売を目指す同社。量産販売に向けて今後は、かつお節スティックを製造するかつお節メーカーと協業し飲食店での反応を模索する戦略を描いている。

 第1弾として飲食店などのプロ向けの販売につなげたい考えで、大型タイプの開発も構想中だ。スティックの種類も拡充し、取り扱う食材を魚や鶏などに広げることを狙う。

 本体は3種類あり、それぞれ本物の木を採用した。本体に、清掃ブラシや充電コード(USBタイプC)などの付属品と試し削り用かつお節スティックを組み合わせたセットで、税抜き3万5000円を想定。スティックはサブスクリプションや都度購入で、荒節10本を同3000円前後で想定している。