2024.01.25 【空質商品特集】空気清浄機の商戦が活発化

空気質への関心は高く、空質商品も安定的な需要が見込める

 健康的でキレイな空気への関心は、コロナ禍を経て全般的に強まっている。室内の快適、清潔に寄与する、いわゆる空質関連機器は、空気清浄機をはじめ、除菌・脱臭機や加湿器、換気機能やイオン・ミスト発生機能などを搭載したエアコンなど、幅広い商品がそろい、年間通して需要を顕在化させる機会がある。2~4月は花粉シーズンでもあり、花粉対策商品として空気清浄機への注目が高まるシーズンでもある。

 新型コロナが5類に移行して以来、人々の行動様式に大きな変化が表れ、外出志向が強まっているものの、在宅勤務の増加などライフスタイルはコロナ禍を機に、大きく変化している。

 在宅時間が増加する一方、住宅の高気密化も進み、室内の空気質の向上に対するニーズは、今後とも潜在的に強いものがある。また依然として、多くの人にとって清潔・快適・健康意識は強く、空質機器への関心は根強く存在している。

 空質関連機器で主力となる空気清浄機は近年、パワフルな集じん性能やイオン発生機能、UVやオゾン除菌、除湿・加湿機能搭載といった清潔・快適につながる付加価値の高い商品戦略が活発となっている。

 シャープのWeb調査(2023年3月/n=850、複数回答)によると、空気清浄機の購入理由のトップは「菌やウイルスの抑制」で約50%、次いで「ハウスダストやホコリの集じん」(約40%)、「花粉の除去」(約35%)となっている。

 このほか、ダニやアレル物質の作用抑制、PM2.5などの除去、臭いの消臭が30%前後で続き、空気清浄機の本格的な性能を重視して購入する傾向は強まっているという。

 市場の動きについては、コロナ禍が始まった20年度の過去最高出荷台数(前年比177%の約360万台)をピークに、21~22年度は連続して前年割れの状況となっており、22年度は6年ぶりの200万台割れ(約175万台)と、厳しい展開となっている(日本電機工業会調べ)。

 23年度に入って以降も依然として前年割れが続いており、同工業会の出荷統計では、4~11月累計で前年同期比91.9%の推移となっている。ただ、潜在的に空気質への関心が高い中で、今後も200万台前後の安定した需要が見込めそうだ。花粉飛散が例年より多いといった、何らかのきっかけがあれば需要に弾みがつく可能性も高い。

 今年の花粉飛散は地域にもよるが、全国的にはほぼ例年並みかやや多いとの予測で、2月下旬から3月にかけてが飛散のピークになるという。

 空気質に対するニーズは幅広いが、空気清浄機については本格的な性能を重視して購入するユーザーが多いことから、商戦ピークを控え、付加価値の高い商品提案を強化することが重要になる。

 近年、各社では、本格的な性能をクリアした大風量タイプの商品開発を強化する一方、スリムなタワー型を採用するなどインテリアに映えるデザイン戦略や、静音性といった総合的な商品戦略も強めており、過去の商戦ピーク時に購入したユーザーの買い替え需要顕在化を含め、最新の高付加価値モデルへの提案が重要となる。

 また、空気清浄機にとどまらず、高性能な除菌・脱臭専用機の提案強化など、ユーザーニーズに寄り添った商品提案も求められる。

パナソニックの主力商品

家庭用ジアイーノ「F-MV5400」1台4役で空気の悩み解決

次亜塩素酸 空間除菌脱臭機「ジアイーノ」ペットエディション「F-MV4420」

 パナソニックは、空気質への関心が高まる中、次亜塩素酸 空間除菌脱臭機「ジアイーノ」の提案を強めている。

 家庭用ジアイーノの主力商品「F-MV5400」は、「集中クリーンモード」を搭載しており、1台4役で部屋の空気の悩みを解決する。

 F-MV5400に搭載している集中クリーンモードは、一時的に次亜塩素酸濃度を高め、部屋に付着した菌や臭いを通常運転時より集中的に除菌・脱臭する。

 脱臭については、空間に漂い続ける臭いの除去(空間臭脱臭)、布製品に臭いが染みつく前に素早く脱臭すること(付着前脱臭)に加え、焼き肉など既に布製品に付着している臭いの脱臭効果(付着集脱臭)も確認しており、トリプル脱臭を実現する。

 空間臭脱臭では、実際のネコ・イヌのふん尿を使い、排せつ物の脱臭効果があることも実証した。また、ジアイーノは、人が多く集うリビング空間で一番使われており、1台で除菌・脱臭・加湿だけでなく、花粉やハウスダストも取りたいというニーズにも応えられる集じん性能を持っている。

 また、ジアイーノ購入者の半数がペットと暮らすペットオーナーであることを受け、ジアイーノ ペットエディション「F-MV4420」も新たにラインアップに加えた。スピード脱臭モードや音に敏感なペットに配慮し、運転音が徐々に上がる「シームレス風量切り替え運転」を搭載している。

 ■加湿空気清浄機

 花粉シーズンを控え、独自の気流とナノイーX(48兆)で部屋の花粉を徹底除去・抑制する花粉撃退テクノロジーを搭載した加湿空気清浄機の最上位モデル「F-VXV90」などもラインアップする。

 VXV90は、3Dフロールーバーで立体的な気流を実現し、床上(30センチメートル)と側面の4カ所からパワフルに吸引、これまで以上に効率よく空気を循環させ、花粉やハウスダストを除去する。

 ナノイーXも進化した。花粉を99%以上抑制するまでのスピードは、4倍(約3時間)となっている。