2020.02.26 【スマートエネルギー特集】スマートエネルギーWeek2020 きょうから東京ビッグサイトで開催

昨年のテープカットに集まる来場者たち

昨年は多くの来場者がいくつものブースを回った昨年は多くの来場者がいくつものブースを回った

昨年のセミナーの様子(いずれも写真提供=主催者)昨年のセミナーの様子(いずれも写真提供=主催者)

再生可能エネなど展示会が一堂

 太陽光発電や風力発電といった再生可能エネルギーなどの展示会が一堂に会する国際総合展「第16回スマートエネルギーWeek2020」が26日から28日まで、東京都江東区有明の東京ビッグサイトで開かれる。

 再エネ拡大を大きく支えてきた太陽光発電も新展開を迎えつつある。固定価格買い取り(FIT)制度が昨年11月から順次終了しはじめる中、国は制度を定めた再エネ特措法の抜本改正の議論を進めている。出展では、太陽光と蓄電池を組み合わせた自家消費型や、洋上風力発電といった新たな電源の在り方にも注目が集まっている。

 総合展は、スマートエネルギーWeekという大きな傘の中に、計八つの展示会がぶら下がっている仕組みだ。「第16回国際水素・燃料電池展」「第13回国際太陽光発電展」「第11回国際二次電池展」「第10回国際スマートグリッドEXPO」「第8回国際風力発電展」「第5回国際バイオマス展」「第4回次世代火力発電EXPO」「第2回資源リサイクルEXPO」で構成される。

 昨年は2月27日-3月1日に開かれ、連日2万人を超える来場者があり、3日間の合計で約6万7千人が訪れた。昨年の出展実績は約1400社だったが、今年はそれを上回る計1520社がブースを並べる見込み。世界30カ国から出展予定だ。3日間の合計で約7万人の来場を見込んでいる。同種の展示会としては国内最大であり、世界的にも有数の規模だという。

 今年の総合展について主催する「リード エグジビション ジャパン」(東京都新宿区)の担当者は、「再エネの変革期が訪れている。太陽光発電の自家消費や洋上風力など新たな電源が普及期に入りつつある。EVシフトなどもあり、エネルギーが、ワンステップ飛躍する時期が来ている」と指摘した上で、「変革期のエネルギー業界の最先端の情報が、展示会に盛りだくさんに集まった」と話す。

期間中200の講演

 期間中に会場では、セミナープログラムとして各分野の企業や経産省などの専門家らによる約200回の講演会が行われる予定。業界のトップらが描く将来像などが語られる。

 実際に今年、出展数を大きく押し上げたのは、主にスマートグリッドや、水素・燃料電池、さらに風力発電の分野だ。

 太陽光関連で増えているのが、自家消費型だ。家に蓄電池を組み込んだり、エネルギーマネジメントしたりする例を紹介。市場に売り込みをかけたい企業側などが出展する。一方で、住宅関連の業者や、そうした業界に強みを持つ商社などの来場登録が増えているという。

 また、売電価格が下がる中、発電ロスをなるべく少なくするといった理由で重要視されている保守管理についての技術の紹介も充実する。例えば、パネルが汚れると発電効率が落ちるため、パネルを自動的に洗浄するロボットなどの展示も予定される。ほかにも、野立てのパネルは、雑草などに覆われると効率が落ちるため、ホームセンターなどで販売する防草シートや防草剤などの製品メーカーの出展も予定される。

 風力発電の出展の中でも、海洋上に設備を設けて発電する洋上風力が増えている。陸上に比べ、より大きな風力を持続的に得られるために安定的な供給ができたり、騒音などの影響が出ずに済む利点がある。

 16-19年にかけて港湾法改正や再エネ海域利用法施行などの法整備により、国内で30を超えるプロジェクトなどが立ち上がっている。「市場が第一歩目を踏み出した」(主催者)と見る向きがあり、新しく市場に売り込みたい企業がブースを構えるようになったという。プラント企業や海洋関連会社などのブースが並ぶ。

環境分野の展示規模拡大へ

 再生可能エネルギーの総合展として続けてきた展示内容に昨年、大きな進展があった。新たに社会的関心の高い環境分野にも広げた。

 具体的には、昨年初めて「資源リサイクルEXPO」を開催。初回は太陽光電池や蓄電池のリサイクルに特化した展示だったが、今回は世界的課題として浮上する廃プラスチック問題もテーマに加えた。こうした問題の解決に向けた技術を持つ企業が、ゾーンを区切って出展する。エリアの半分近くを占める規模にまで集まった。

 バイオプラスチックや生分解性プラスチックなどの技術のほか、回収したプラスチックのリサイクル技術などの展示がある。

 主催者は「SDGsやESG投資が世界的潮流となっている中、企業の総務部門やCSR部門の担当者が、再エネ導入とエコな技術採用の両面を見学しながら検討できる展示になっている」と話す。今後も環境面の展示規模を拡大させ、「新たな軸」に育てていく方針だ。

 海外からの初出展が多いのが水素・燃料電池関連。燃料電池自動車(FCV)や水素ステーションが現実味を帯びてきたことを感じさせる展示になっているという。ドイツ、ノルウェー、オランダ、フィンランド、台湾、カナダ、韓国などからの出展が多く、国際色豊かな会場になっている。日本が最も進んだ技術を持ち、「展示のメッカになっている」(主催者)という。

 バイオマス関連で大きなテーマになっているのが、燃料の安定供給面。主に木材を高効率にチップにできる破砕機や、燃料が高い燃焼効率を保っているかなどを試験で確かめる企業などの出展が予定されている。

 二次電池では、次世代電池の本命とされている全固体電池に注目が集まる。数年前までは模索の最中だったが、ここにきて実用化し販売を始めた企業が出ている。国内の電池メーカーでも開発競争が起きているが、開発を助ける技術を持つ企業などの出展も見どころだという。

【スマートエネルギー特集】目次

●スマートエネルギーWeek2020 きょうから東京ビッグサイトで開催
太陽光発電業界動向 進むFIT制度の改革議論 業界は行方注視
新エネルギー関連部品動向 高効率、高信頼性など技術開発加速
ニチコン ハイブリッド蓄電システム新製品 家まるごと電力供給
クラボウ 赤外線吸収方式膜厚計測装置などを紹介
KOA シャント抵抗器「SLP」 最大定格電力2W対応
トリナ・ソーラー・ジャパン 両面ガラスモジュール「デュオマックス」に注力
カナディアン・ソーラー・ジャパン ハイブリッドパワーコンディショナ&蓄電池 直流のまま蓄電
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