2025.11.15 東芝、再成長へ着々と基盤づくり 4〜9月期営業益6割増 電力インフラけん引

東芝は収益基盤の一段の強化を目指す

 東芝は、将来の再成長に向けた基盤づくりを着々と進めている。2025年4〜9月期の本業のもうけを示す連結営業利益は、前年同期比64%増の1154億円となった。データセンター(DC)需要の拡大を追い風に送変電・配電などのエネルギー事業が好調に推移するとともに、防衛などのインフラ事業も利益を押し上げた。

 14日発表した上期決算によると、売上高はほぼ前年同期並みの1兆6138億円となったが、純利益も同約3倍の3160億円と大幅な増益を達成した。営業利益、純利益ともに、半導体メモリー事業を除いた事業ポートフォリオとなって以降で過去最高の実績を更新した。キオクシアホールディングス株の売却も、利益を押し上げる要因となった。

 事業別にみると、人工知能(AI)の普及などを背景にDCで消費する電力が膨らむ中、送変電・配電事業が堅調に推移。さらにHDD(ハードディスクドライブ)の製品保証引当金の減少と増収による増益も業績にプラスに働いたほか、鉄道やエレベーターなどの増益も寄与した。 

 一方、POS(販売時点情報管理)システムや複合機を手がける「リテール&プリンティング」は、米関税政策の影響によるコスト増や顧客投資の先送りが続いて減益となったものの、売価施策や構造改革を継続して影響の最小化に取り組んだ。 

収益力の強化が進展

 東芝は中長期的な成長に向けた道筋を付けるため、24年5月に新中期経営計画「東芝再興計画」を発表。この中で、27年3月期までに売上高営業利益率(ROS)10%を達成する目標に掲げた。副社長執行役員の池谷光司氏はコメントの中で、「一連の経営改革と自助努力の成果として、ROSは上期7.2%を実現し、本業の収益力強化が着実に進展している」と評価。ROS10%の達成に向け、「収益基盤の更なる強化と拡大に取り組む」としている。

 日米両政府は10月、トランプ大統領の訪日に合わせて、「日米間の投資に関する共同ファクトシート」を公表。この共同文書には、エネルギーやAIなどに関する計21件のプロジェクトが列挙され、日本企業も関心を示した。東芝は文書に明示された「AIインフラの強化」に関与し、DC向け変圧器や変電設備などを供給することを検討している。