2025.10.07 ベルギーのimec、300mmGaNウエハー開発へ ファウンドリー大手や装置メーカーと協業

300mmのGaN-on-Siウエハー

300mm基板上のGaN HEMT用マスク300mm基板上のGaN HEMT用マスク

 ベルギーの公的先端研究機関imec(アイメック)は6日、米グローバルファウンドリーズ(GF)と電子設計自動化(EDA)大手の米シノプシス、半導体製造装置の米KLA、米Veeco、ドイツの半導体製造装置メーカーのアイクストロンと共同でGaN(窒化ガリウム)300mmウエハーの開発をスタートしたと発表した。今回の共同研究は「IIAP」と呼ばれるアイメックのGaNパワーエレクトロニクスに関する共同研究の一環。研究成果は参加企業との間で共有される。GFは300mmウエハーのGaN製造ラインを構築中とする。

 今回の共同研究は、300mmのGaNウエハー基板の結晶構造に沿って新しい結晶層を成長させるエピタキシャル成長と、低・高電圧GaN HEMT(高電子移動度トランジスタ)のプロセスフローを開発することが目的だ。

 300mmウエハーを使用することでGaNのデバイス製造コストを引き下げるだけでなく、CPU(中央演算処理装置)やGPU(画像処理半導体)向けの効率的なPOL(ポイント・オブ・ロード)コンバーターのようなパワーデバイスの開発が可能になる。

 近年、GaNをベースにした急速充電器が市場に多く見られ、電力関連の応用分野でGaN技術の可能性が明らかになっている。またGaNエピ成長技術の進歩により、信頼性、強靱(きょうじん)性、システムレベルの適合性などにより、GaN技術は、パワーエレクトロニクス製品の新世代のデバイスとして着目されてきた。シリコン基板より小型・軽量で優れたエネルギー変換効率が特徴であるため、市場参入を早めそうだ。

 特に用途としては、EV(電気自動車)用オンボード充電器や太陽光発電用インバーター、自動車用DC-DCコンバーターなど幅広い。