2025.11.19 東芝、指紋認証ICカードの新製品投入 非接触式の多要素認証に対応

非接触式の多要素認証に対応した「BISCADE」の使用イメージ

 東芝は、市販のICカードリーダーにかざして使える指紋認証ICカードソリューション「BISCADE(ビスケード)」の新製品の提供を始めた。さまざまなICカードシステムで、1枚のICカードで複数のシステムの多要素認証を実現し、生体認証の本人確認によるなりすまし防止を実現できる。

 ビスケードは確実な本人確認を支援するICカードで、2020年に製品化した。今回投入した新製品は、市販のICカードリーダーの「非接触式」に対応したため、利便性が向上した。従来は1枚のカードで1システムのみの適用だったが、新製品は指紋登録やカードへの情報設定をクラウドサービスで行う。このため、複数のシステムの認証情報を登録でき、1枚のICカードで複数のシステムの二要素認証が可能となった。

 昨今、システムログインのID・パスワードの漏えいやなりすましによるシステムの不正利用の被害が発生。ID・パスワードのような「記憶情報」に加えて、ICカードを所持しているという「所持情報」、指紋や顔などの「生体情報」など、異なる種類の認証情報を2つ以上組み合わせて本人確認を行う多要素認証の採用が多くのシステムで検討されている。

 厚生労働省のガイドラインでは、27年度時点で稼働を想定する医療情報システムを新規で導入したり更新したりする場合には、二要素認証を採用するシステムの導入やこれに相当する対応が求められている。特に医療業界では、多要素認証への対応が急務になっているという。