2025.11.21 東芝、鉄道車両向け「ハイパワーバッテリーモジュール」開発 電力削減を後押し

 東芝は、従来よりも高出力で高効率な鉄道車両向け「ハイパワーバッテリモジュール」を新たに開発したと発表した。鉄道運行で使用する電力量の一段の削減や温室効果ガス排出量を実質ゼロにするカーボンニュートラルの実現を後押しする。

 今回開発したのは、同社の従来品との比較で3倍の高出力で充放電できるハイパワーバッテリモジュール。同社の「リチウムイオン二次電池SCiBセル」を適用した。 

 列車のブレーキ作動時に発生する回生エネルギーを効率よく蓄電し、万が一電力供給が断たれた際に退避運転を行う電力を供給する「非常用蓄電池」として活用できる。蓄電した電力を加速走行など列車運行のアシストにも生かせる。

 さらに、高電圧下での絶縁性能を強化。国内の直流電化区間の90%以上を占める直流1500Vの架線へ直結できるようにした。回路の構成を簡素化できることも特徴で、装置の小型化にも貢献できる。

 列車のブレーキ作動時には、隣接する加速走行中の列車で利用可能な回生エネルギーが発生する。ただ、近くにこのエネルギーを消費する列車が存在することが必要で、車載の抵抗器や機械ブレーキで熱として浪費されていた。電力料金が高騰する中で鉄道事業者には、使用電力量の削減など省エネ化に向けた取り組みが求められ、浪費される回生エネルギーの有効活用が喫緊の課題となっている。

 そこで同社は、回生エネルギーを蓄電し有効活用する鉄道車両向けシステムを直流600Vの架線区間で提供しているが、より効率的に活用するためにはバッテリモジュールの架線電圧に対する適用範囲を広げて、高出力で充放電をする対応が求められていたという。