2025.11.19 慶応大と東芝が「量子技術とマーケットデザイン」をテーマに講座 次代担う人材を育成

講義を行う東芝の社長執行役員 CEOの島田太郎氏

 慶応義塾大学と東芝は、同大経済学部で2025年秋学期から、「量子技術とマーケットデザイン」と題する寄付講座を開講した。講座では、進展著しい量子技術と経済学で注目を集めるマーケットデザイン(市場設計)という二つの先端分野を融合。量子時代を見据え、次世代の制度設計を担う人材の育成を目指す。

 開講場所は慶応大三田キャンパス(東京都港区)で、期間は10月6日から2026年1⽉19⽇までの全14回。慶応大経済学部と同大大学院経済学研究科修士課程の約420人が対象となる。 

 講座は、マーケットデザインを専門とする慶応大経済学部の栗野盛光教授と、量子技術の社会応用を目指す同学部の高原勇特任教授が共同で担当。東芝をはじめとする学外講師を招き、量子技術と市場設計の接点について多角的に学べる機会を用意する。

 量子技術は、今後の経済や社会の構造に大きな影響を及ぼすと期待されている。講座では、その技術的な基盤を学生にもわかりやすく伝えるとともに、量子技術の発展と市場拡大を支える制度設計について伝授する。今回の取り組みは世界的にも先駆的な試みで、慶應義塾ならではの「全社会の先導者」を育てる姿勢を体現したという。

 さらに産学連携により、実社会に根ざした事例や課題に触れながら学べる点も特徴。量子技術を活用した新たな市場制度のあり方を学生とともに探求し、近い将来を見据えた高度な専門性と実践力を備えた人材を育てることを狙う。