2025.11.19 富士通Japan、生成AIで退院サマリ作成時間を7割短縮 名古屋医療センターで本格運用開始
富士通Japanは19日、国立病院機構名古屋医療センター(名古屋市中区)に、生成AI(人工知能)を活用した医療文書作成支援サービスを導入したと発表した。退院サマリの作成時間を大幅に短縮する環境を整備し、全診療科で本格運用を開始した。
医療現場では、入院患者の退院後にケア施設や他医療機関と共有する「退院サマリ」の作成が、膨大な診療情報を整理・転記する手作業に依存しており、医師の業務負担となっていた。名古屋医療センターでも、年間約1万6,000件の退院サマリを電子カルテから転記する形で作成しており、改善が求められていた。
今回のサービスでは、電子カルテに入力された診療記録をもとに、生成AIが指定された目的や要件に即した文書ドラフトを作成する。試験導入では、整形外科など複数診療科で平均28分から8分へと短縮し、7割以上の効率化を確認した。これにより、年間約5,000万円超のコスト削減効果が見込まれている。
クラウド型サービスでありながら、診療データを生成AIの学習に使わず保存しない形で専用回線を介した閉域ネットワークを活用するなど、個人情報保護と安全性にも配慮した。医療情報の共有標準規格「HL7 FHIR」に対応し、医療機関間のデータ連携を支える仕様としている。
今後は生成AIの適用範囲を医療文書作成にとどまらず、診療業務の効率化や診療情報の利活用へと拡大。医療機関全体をデジタル最適化する「デジタルホスピタル」の実現に向け、医療機関向け包括ソリューションとして展開を進める。








