2024.02.27 「もはやイチキュッパではない」 若者にも人気のコンデジ、出荷額は平均4.5万円へ Vlogなどで利用進む

Vlogなどの動画撮影で利用が広がるコンデジ

 コンデジ(コンパクトデジタルカメラ)が再び脚光を浴びつつある。「イチキュッパ(1万9800円)」など安いデジカメの代名詞とされ、スマートフォンに市場を食われたとも言われるが、ソニーキヤノンがVlogなどの動画撮影をターゲットにしたコンデジで若者の需要を獲得。富士フイルムも本物志向に応える高級コンデジを3月下旬に発売する。出荷額の平均は約4万5000円にまで拡大しており、ユースケースの提案や小型・軽量といった特徴を生かすことで、ここにきてコンデジにも商機が出てきている。

 「コンデジは以前に比べて市場が50分の1になったが、落ち方が止まりつつある。逆に新ジャンルやユースケースにはまれば復調の可能性もある」。キヤノンでカメラ事業の責任者を務める戸倉剛専務執行役員イメージコミュニケーション事業本部長はそう分析する。

 キヤノンは昨年6月、初のVlogカメラ「PowerShot V10」を発売。コンデジのブランド名としてなじみのPowerShotを冠した製品で、その技術やノウハウを結集した。

 ソニーもVlogカメラでコンデジの新たな可能性を示す一社。Vlogなど手軽な動画撮影をメインに訴求する「VLOGCAMシリーズ」を展開している。

 嗜好(しこう)性の強いカメラだからこその保有欲を満たす製品も登場。4年ぶりの新型として富士フイルムが発売する「X100Ⅵ」だ。

 X100Ⅵは、コンデジながら税別25万6000円前後を想定し、価格はミラーレスに匹敵する。ミラーレスにも実装する最高スペックの画像センサーの搭載といった性能面に加え、初代から受け継ぐアルミの質感や色味にこだわったデザインなど、細部まで妥協しない作り込みを実現している。

 カメラ映像機器工業会(CIPA)の統計では、2023年(1~12月)のデジカメ総出荷台数は772万台。そのうちレンズ一体型は172万台で、前年から2割近く減少しているが、減少幅に落ち着きも見られる。

(28日付電波新聞/電波新聞デジタルで詳報します)