2020.06.26 【オフィスソリューション特集】商業印刷デジタル化が本格化、アフターコロナ見据える

拡大するプロダクションプリント市場

 新型コロナウイルスの影響拡大は、商業印刷市場にも大きなインパクトを与え、市場環境はこれまでになく厳しくなっている。

 しかし、商業印刷市場のデジタル化の波は、一時的な影響を受けているものの、拡大していくのは必至。

 メーカー各社では、アフターコロナを見据え、市場拡大に注力する。特に、商業印刷業界も高齢化や人材不足の課題を抱え、働き方改革も求められている。印刷工程の自動化など経営面の視点からも本格的なデジタル化が求められている。

 オフセット印刷は、高画質で大量印刷などに強みがあり、依然として大きな市場を形成している。

 今後も商業印刷の中心であるのは変わりないと見られているが、オンデマンドで小ロットの印刷も可能なデジタル印刷が着実に市場を広げている。

 印刷品質もオフセットに匹敵するなど高画質化が進み、商業印刷のデジタル化は、世の中のデジタル化の流れとともに、進展する見通しだ。

 また、人手がかかっていた業務の自動化など、人手不足の問題やコスト面からもデジタル印刷の普及が期待されている。

 富士ゼロックスの鈴木祥子グラフィックコミュニケーションサービス事業本部マーケティング部部長は「コロナの影響で、市場環境は厳しいが、データプリンティングなどは安定した需要があり、対面販売に代わるDMの活用、自学習用テキストをはじめ、新しい商機も出てきている」として、企業と連携して新しい印刷商材の開拓にも本格的に取り組みを開始した。

 抗ウイルス機能を持つ日本三大和紙の一つ「越前和紙」に柔軟性を持たせるしっくい塗料をコーティングし、和紙としっくいの機能性を持たせた新しい和紙としての普及に注力している。「新しいマテリアルとして、印刷業者の印刷力強化につなげたい」と話す。

 また、同社では統合型ワークフローソフトウエア「プロダクション コックピット」により、印刷のワークフロー全体を統合管理することで、工程の見える化を提案している。

 リコーは、プロダクションプリンタ「RICOH Proシリーズ」のカラー機の新製品として「RICOH Pro C5310S/C5300S」を1日から発売。新製品は従来機に比べ、生産性や画像品質、用紙対応力を強化した。

 また、プリンティングシステムの基幹部品として使われる産業用インクジェットヘッドのラインアップを強化した。

 同社では、商業印刷業の経営者が、印刷業の方向性やビジネス拡大を図っていくための施策などを考えていく新組織として「ナレッジ シェアリング フォーラム」を発足させている。

 キヤノンは、高画質など品質面とともに、印刷後の製本までをバーコードで自動化するなど、デジタル印刷から製本までの一気通貫のソリューションを提案する。

 「印刷業界も小ロット、短納期が可能なプリント・オン・デマンドのニーズが高まっている。客層に応じたフレキシブルな印刷の強みを訴求。また、印刷工程の自動化などにも注力している」とキヤノンマーケティングジャパンの吉田直矢チーフ(プロダクションシステム企画第二課)は話す。

 コニカミノルタは、デジタル印刷システムのカラー最上位機種「アキュリオ プレス C14000シリーズ」を17日から発売開始した。

 同社は特にミッドレンジに強みを持つが、本格的にハイボリューム領域へ参入。

 オペレーション効率化のために三つの最新テクノロジーを搭載し、印刷現場におけるタイムロスを最小化させるだけでなく、オペレータの専門スキルを不要とし、印刷事業者が採用できる人材の幅を広げる狙いがある。

 また、自社実験に基づく働き方改革〝いいじかん設計〟ソリューションを提案している。

 京セラドキュメントソリューションズは、インクジェットプロダクションプリンタ「TASKalfa Pro 15000c」を3月から国内投入している。