2025.10.06 パテンティクスが約7.2億円の資金調達 三菱、アイシン、デンソーなどがGeO₂パワー半導体に期待

 立命館大学発のスタートアップ、Patentix(パテンティクス、滋賀県草津市)は3日、三菱電機やアイシン、デンソーなどからの7億1900万円を資金調達したと発表した。 Patentix は次世代パワー半導体材料として期待される二酸化ゲルマニウム(GeO₂)の研究開発に取り組む。今回は事業拡大に向けて行われる初期段階のシリーズAラウンド。SiC(炭化ケイ素)などの次世代材料の展開が進むパワーデバイス市場で、より優れた材料により開拓を狙う。

 2022年12月の創業後2回目の資金調達で、今回は計10億5900万円を集めた。この資金により、これまで進めてきた高耐圧の「ウルトラワイドバンドギャップ」材料であるGeO₂の研究を本格化。耐圧性能が求められるパワーデバイスでの展開を目指す。同分野の市場は電気自動車(EV)が大きく、出資者にはパワー半導体を手掛ける三菱電機やTier1メーカーであるアイシンやデンソーの名前が並んだ。

 GeO₂の強みは電気的に安定して制御できる技術が確立していることにある。本来は絶縁体に近い材料を半導体として利用するには、電流を流すために不純物を注入する「ドーピング」が必要だ。価電子の多い原子を加えて余分な電子を供給するn型と、価電子の少ない原子を加えて電子の抜け穴(正孔)を作るp型があり、両方を一つの素子に形成することで電気的に安定する。これをGeO₂は既に実現している。

 酸化ガリウムなど、次世代材料には一方のドーピングで技術的に課題を抱えるものもある。同社は、車載分野に加え、放射線など過酷な環境にある宇宙機向けの展開も想定する。